おっかない高知の山の中に位置する寒村、茂伸村へと六年ぶりに帰省したのは、沢井透っていうわたしよ。
ほら、忘れっぽくてふるさとのことを完全に忘れてしまった妹の夏葉ちゃんも一緒にやってきたの。

都会どころか、他の町からも遠ざかった古びた空気漂うこの場所では、家守妖怪のあかしゃぐま、幼馴染のありすちゃん、そして傘妖の飛車角――懐かしい仲間たちとの再会が、さびついていた記憶の時計を再び動かし始めたわ。
家の大掃除、山で遊ぶ、水路の修繕、畑で働く、そして牛鬼の妖怪の来訪……。
茂伸の暮らしの中で全く変わらない日々を過ごすうちに、 やがて村に伝わる土着信仰、ひめみや流の夏祭りの夜がやってきたの。
夜の市場に賑わう境内に響く触太鼓の音は、祭りのハイライトである面舞いの始まりを告げるわ。
ちぐらとヒトカタに守られた舞台に浮かび上がるのは、七面頬と呼ばれる大妖と人間たちが織りなす歴史。
その舞の最中に、夏葉ちゃんが突然倒れてしまったの。
「おにいちゃん……夏葉ちゃん……体が変な感じなんだけど」 一晩で十センチ以上身長が伸びたり、体型が変わったり、下腹部から初めての出血があったりと、夏葉ちゃんの体におかしな変化が起こっていたのよ。
(異常成長が続くと、夏葉ちゃんの命が危ないわ!) 果たしてその原因は、病気なのか呪いなのか―― 焦りながら、すみとありすに助けを求めて、透は夏葉ちゃんを救う手掛かりを見つけるために行動を始めたのよ。
すみルート -アフターストーリー- 「むこうの、どしよう?」 ちぐらの中で暮らすことで肉体的な安定を得た大陸から招聘した大妖・獏が見せる夢によって、 精神的に――老化が進んでしまった夏葉ちゃんが、安らかな眠りに包まれて七年が経過したわ。
その間、必死に鍛錬に励んできた透と、常に透を支え続けたすみちゃんとの間には、 可愛い娘・えみが誕生していたの。
夏葉ちゃんの過去へ戻る可能性があるなら、七面頬の時に挑むしかないの。
うん、そうなんだよね。
透とすみは、いつも修行場所を探してる七面頬のことを追い求めてるんだよ。
その中で、えみの目には特別な力があると気付くんだ。
えみは半分人間で半分妖怪だから、彼女の瞳には普通の人や妖怪には見えない、人と妖怪の間にある“見えず触れず”の“穴”が映し出されるんだよ。
透は滝女郎ですら知らない七面頬の修行場所を見つけるために、“むこうの”、人々が暮らせない妖怪たちの世界に入ってみようと考える。
そして、そこにたどり着いた時、えみを守り続けてきた親友で“むこうの”に出入りしていたうたれちゃん、鉄砲撃レ狸に出会うんだ。
うたれちゃんの案内で、大妖四国八百八狸頭領・大狸形部腹突と会うことができた透は、“むこうの”の茂伸神社本社に住む大天狗コンコーポーから、滝番に関する情報を聞かされるんだ。
透は形部狸の信頼を得て協力を得られそうだったけど、飛車角の「たぬき汁」発言がそれを台無しにしてしまったんだ。
透はギリギリで“むこうの”から脱出し、飛車角の老化を実感するんだ。
「もう飛車角に頼れない」と思った透は、ひめみやや博師たちの許可を得て、七面を使うことになった。
さらに、滝女郎の右女郎と左女郎、牛鬼のとおこ、ちまとめっかいからも協力を得ることに成功する。
右女郎、ありす、飛車角を残して、協力者たちとすみ・えみと一緒に再び“むこうの”へ向かうのだ。
あらやだっ、このアパートが透ちゃんのお部屋なんだー。
ひめみや様のところから逃げてきて、私と夏葉ちゃんと一緒に犀玉での生活をスタートさせたのよ。
でもね、(もしかしたら病院にも敵がいるかもしれないし)不安でパニくってる透ちゃんは、眠り続ける夏葉ちゃんを壊してしまうことを恐れて、全然身動きが取れなくなっちゃってるのよ。
だから、必死で透ちゃんを支えてる私がいるわ。
でもね、新しい街での生活や新生活になれず、その負担で倒れちゃったのよ。
“ありすが!?”って夏葉ちゃんのことも忘れちゃって、慌てて私のところに駆けつけた透ちゃん。
運び込まれた先は透ちゃんの学ぶ犀玉医大の総合医療センターだったわ。
幸い可燃的な過労状態だった私を励まし、南雲教授の叱咤によって自分の愚かさに気づいた透ちゃんは、夏葉ちゃんを目覚めさせるためと、私を支えるために医師になる決意をして、IAGS研究に励むことになるのよ。
その間、私も医療事務の勉強を始めて、透ちゃんと支え合いながら充実した日々を過ごしてたわ。
そんな中、予期せぬことが起こってー!星辰ひめみやが突然やってきて、なんとも不穏な空気を運んできたのよ。
“生者として活動したいなら、他人の時間を借りなきゃいけない”って。
透ちゃんと私を助けるために犀玉までやってきたひめみや様は、特別な力で私の時間を大幅に借り取ってしまったの。
そして、私は少女に変えられ、これまでの記憶もなくしてしまったわ。
“ありすを元に戻す方法は!?”と透ちゃんに迫られると、ひめみや様は答えたわ。
前借りを精算するためには、ひめみや様の代理人である男―つまり、透ちゃんの「精」を注ぎ込むことが必要なのだと。
あら、夏葉のストーリー、セカンドシーズン、”七つの夏のはざまたち”について詳しく話すわね。
透との絆で御留水が抜けちゃって、ちっちゃなからだに戻った夏葉ちゃん。
でも透が父親の日記を探している最中に井戸に落ちかけてしまって、それにショックを受けてまた異常成長しちゃうわけ。
そんな時にひめみや、尚武、滝女郎たちと会議を開いて、夏葉の状況と御留水の今の状態を理解して。
そこで透は、夏葉の残り少ない御留水を安定させるために、夏葉といちゃいちゃあまあまな日々を過ごすことを決意するのよ。
その結果、ちゃんと本来の成長に戻った夏葉と透は、IAGSの完治を目指して一緒に頑張って、犀玉へと向かう決意をする。
夏葉はその後、犀玉医大付属病院への入院を決めるわ。
入院生活に戸惑う夏葉の不安を取り除くために、透は勉強や研究をしながら、夏葉のサポートを続けるの。
初めての院内学芸会や受け継いだウェディングドレスも、透の優しい支えで、夏葉は異常成長を防ぎつつ、治療や成長を進めていくのよ。
入院生活が始まった時はただの観客だった夏葉も、ある時点で病棟の子供たち全員の推薦で主役に選ばれるようになるの。
透のサポートも手伝って、立派な主役を務めきった夏葉ちゃんには、うれしいお知らせが待ってるわ。
それはなんと、自宅での療養が許可されるってこと。
かつて普通に暮らしていたアパートで兄とふたりの生活。
でも病気を経て恋人関係になったことで、その生活はもっと充実していくわ。
尚武が訪れてIAGS研究が進展したことで、学会での進歩が認められて、透が初めて学会に行く際には、夏葉も同行することが許されるのよ。
ふたりでの小旅行はこれまでとは違う、特別な意味合いのものになって。
毎年やってくる夏の度に、透と夏葉は心と肌を重ね合わせ、絆や愛を深めていくわ。
そしてやってくるのは、七つ目の夏……。
ねー、夏葉!ねぇ、聞いてよ!ねー、今日めっちゃ嬉しい知らせをもらったんだよ。
なんか、飛車角のプレストーリーってやつに出演するってさ。
あの「飛車角、雨あがり」ってやつ!すごいでしょ? 「もしかして、徳川の時代が終わるってマジ?」って聞かれてさ。
舞台は幕末の時代だから、人間にとっても妖怪にとっても動乱期なんだって。
新しい時代が来ても、妖怪が暴れたら困るし、人間が妖怪に喰われちゃうのも困るよね。
だから、芸州の妖怪のボスである悪五郎の頼みを受けた傘妖の飛車角が西の出雲に行くことになったんだ。
人を喰らう妖怪を退治する旅に出るんだよ。
「まだ死にたくないんだよ~」って悲鳴が飛車角の耳に飛び込んできて、急いで駆けつけたら、見知らぬ少女が何かに追い詰められていたの。
その相手は神のような存在で、少女を汚れた存在だと言い張っているの。
その神様(?)の言うとおり、飛車角の傘は少女を庇いながら次第に焼けて腐っていくの。
でも、傘は守るもの。
身体が壊れようが、飛車角は必死で少女を守り続けるんだよ。
「まぁ、その子は私に預けておいた方がいいよ。
同じことが繰り返されるから」って、その神様(?)は飛車角の傷を癒したり、少女が出す汚れを封じたりして、出雲の山中に二人を置いて去っていっちゃったよ。
不思議なやつだね。
「ワシや、飛車角」「飛車角?」、「そうなんよ、飛車と角を合わせたらちょっとだけ強いって仏法僧たちに名付けられたんや」。
「将棋ってわからないの?」って、飛車角は少女にルールを教えながら嬉しそうに話してたんだよ。
「おーい、王さんがもう動けなくなったぞ。
『つみ』って言うんやで」「つみっ!!」。
少女が笑顔で自分を指差す姿を見て、飛車角も笑顔で幸せそうになっちゃったんだ。
もちろんです~♪ そなた様がおっしゃる通りよ! このお方、つみなる少女は、なんと王様をしのぐほどの力を持っているの、じゃ~! それに見事な傘妖・飛車角という、守ることに特化した存在に加えてね~。
お互いに不器用ながら、そこはかとなく幸せを求めながら、まったりと暮らし始めるのです。
でもね~…飛車角は早々にね~、“同じことになる”とイヅモノミコが口にしたその現実を、しっかり自らに刻みつけられるというんでしょうか……間もないので、お楽しみにしていてくださいませ~♪。
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